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エクスプレス・エントリーCRSスコアに影響のある要因とは?

カナダは7月6日からエクスプレスエントリーの全プログラムの抽選を再開しました。 再開以降、各ドローイングで発行されるInvitation to Apply(ITA)の数は毎週250ずつ増えており、Comprehensive Ranking System(CRS)の必要スコアは少しずつ低下してきています。

とはいえ、スコアのカットオフはまだまだかなり高い水準にあり、直近のドローイングでは、最低533点のスコアが必要でした。通常、カナダ移民局(IRCC)がエクスプレスエントリーの候補者に多くのITAを発行すればするほど、CRSのカットオフは低くなります。しかし現在、501点以上のスコアを保持するエクスプレスエントリー候補者が大量にプールにいるため、ドローイングのスコアの高止まりの要因となっています。

IRCCは、2020年12月からFederal Skilled Worker Program(FSWP)のドローイングを一時停止し、2021年9月にはCanadian Experience Class(CEC)を一時停止していました。この間、ドローイングが行われなかったことが要因となりプール内に501点以上を保持する候補者が増加しました。これが要因となり、パンデミック前と比較して、プール内の高得点候補者の数が急増しています。パンデミック前の2020年3月3日には、プール内に450~600点を保持する候補者が21,900人ほどいました。しかし、2022年8月3日の抽選では、同じ範囲のスコアを保持する候補者は66,813人までに増加しています。現在、501から600のスコアを持つエクスプレスエントリー候補者の数は、政府のウェブサイトで公開されている最新の数字によると、約8,975人となっています。この数字は、7月20日に行われたドローイングに比べると少ないですが、それでも7月6日に発表された数字よりは多く、高得点の候補者が増えていることを示唆していますが、今後CRSカットオフが下がらないほどのスピードではないと考えられます。

Provincial Nominee Program(PNP)の候補者の数も、CRSスコアの低下に影響を与える要因の一つです。このスコアは、州政府が招待の発行を行うため、州によって決定されます。そして、エクスプレスエントリーの候補者がノミネーション申請の招待にどれだけ早く対応できるか(希望する場合)、州によるノミネーション処理にどれだけ時間がかかるかによって決まります。最近の3回の抽選では、1回につき250人のITAが増加したため、PNP候補者だけでなく、新規のExpress Entry候補者の受け入れも相殺されるようになりました。その結果、CRSスコアは下がり続けています。このまま抽選が続くと想定し、IRCCが2週間ごとに250人ずつITAを増やし続けた場合、ドローサイズが2020年12月にの5,000人に並ぶには30週間かかります。このシナリオ通りにいけば2023年3月8日の予想となります。

2020年1月8日から3月4日までの1回の抽選の平均ITA数は3,700件でした。IRCCが同じペースで抽選を増やした場合、この数字を超えるには20週間、つまり2022年12月28日までかかることになります。

もちろん、IRCCは2週間ごとに抽選を行う必要はなく、同局が適当に招待状を調整すればよい。招待状の発行数は、パンデミック期間中に見られたように、6ヶ月以内に80%の申請を確定するという処理基準を維持できるかどうか、また、複数年の移民レベル計画によって決まります。

2022-2024年の移民計画について

IRCCは、2022年に約55,900人のエクスプレスエントリー候補者を迎え入れると予想しています。この数字は、入国管理局のバックログにある人々で構成されることが内部説明資料から分かっています。しかし、新規のエクスプレスエントリー申請者は、2023年の目標である75,750人の中に含まれると予想されます。そして2024年、エクスプレスエントリーの目標は111,500人に上がり、これは2021年の年間エクスプレスエントリー目標に匹敵するものになります。

今後の展望

2023年初頭からIRCCは、職業、言語能力、その他の要素など、経済的目標に焦点を当てたドローイングを開始する予定です。そのため、CRSのスコアやプログラムの種類だけが、ITAを取得できるかどうかの決め手にはならなくなる可能性があります。さらに、ショーン・フレーザー移民大臣は、9月8日までに、経済移民プログラムにおいて、カナダ国内での職務経験をより重視する方法について計画を提出することになっています。12月に提出された同大臣への委任状では、フレイザー氏に対して "エクスプレスエントリーシステムを通じて留学生や外国人労働者の永住権取得の道を拡大する "よう求めていました。しかし、同大臣は6月のCICニュースのインタビューで、エクスプレスエントリーシステムを通じてこれらの候補者がより多くのポイントを与えられるとは限らない、と語っています。”今後数カ月で、これらのパスウェイがどのようなものか、ある程度明らかにできる予定で、カナダにとって大きなチャンスだと思うのでぜひ期待したい”とフレーザー大臣は語っています。

カナダの各州もまた、移民の権限を増やすよう求めています。マニトバ、オンタリオ、サスカチュワン、アルバータの4州の移民担当大臣が、移民に関する発言力の強化を求める書簡に署名しました。サスカチュワン州とオンタリオ州の両州は、移民に関する自治権の拡大と、移民候補者を招待するための指名権の拡大を要求しています。彼らが成功すれば、エクスプレスエントリーの候補者がPNPを通じて永住権を獲得する機会がさらに増えるかもしれません。

Source:CIC NEWS

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Mika.F

Mika Fukuyama/カナダ政府公認移民コンサルタント College of Immigration and Citizenship Consultants (CICC)メンバー: R710017 Canadian Association of Professional Immigration Consultants(CAPIC)メンバー:R23092 大学在学中にカナダ留学を経験。卒業後、5年間日系のメーカー企業で営業として勤務した後カナダへ移住。MFIC Immigration Inc.の代表であり、別企業でImmigrtaion Consultantとしても勤務。

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