概要
条件を満たす留学生は、原則として就労許可証なしでキャンパス内外で働けます。キャンパス内は時間無制限、キャンパス外は学期中24時間/週まで働けます。就労可否は移民・難民・市民権省(IRCC)が発行する就学許可証の条件欄に示されます。就労を開始する前に9桁の社会保険番号(SIN)を取得し、授業開始日までは勤務を開始できません。就学許可の条件に違反すると、学生ステータスの喪失、将来の就学・就労許可の不許可、退去命令など重大な結果につながります。
用語と範囲の定義
キャンパス内:大学・カレッジの敷地内にある建物や施設(食堂、学生センター、図書館など)での勤務です。
キャンパス外:学校敷地外のあらゆる事業所(コンビニ、映画館、地域の店舗など)での勤務や、配達、犬の散歩、家庭教師などの自営業も含みます。
リモート(遠隔):雇用主がカナダ国外にあり、カナダの労働市場と物理的・業務的・財務的なつながりがない場合の在宅勤務です。
就労時間の目安
就労区分 | 週あたり上限 | 条件 |
---|---|---|
キャンパス内 | 無制限 | 原則として在籍校のキャンパスに限ります(助教・研究助手などの例外あり)。 |
キャンパス外(学期中) | 24時間 | 複数の仕事を組み合わせて24時間まで可です。就労不可に該当する場合は働けません。 |
キャンパス外(学校の定める休暇中) | 無制限 | 休暇は連続7日以上が条件です。各暦年で最大180日まで無制限勤務が可能です。 |
カナダ国外雇用主へのリモート勤務 | 無制限 | キャンパス外24時間/週の上限に含めません。 |
キャンパス内で働く
要件を満たす留学生は、就労許可証なしでキャンパス内で働けます。勤務先の例は以下のとおりです。
- 学校法人そのもの
- 教員個人(研究室など)
- 学生団体
- キャンパス内にある民間事業者
- 学校にサービスを提供する構内の委託企業
- 自らの事業(物理的にキャンパス内に拠点がある場合)
キャンパス外と異なり、キャンパス内の就労時間には上限がありません。以下すべてを満たすと、就労許可証なしで働けます。
- 全日制で以下のいずれかに在籍していること:
- 公立の大学・カレッジ・職業訓練校・技術校(ケベックはCEGEPを含みます)
- ケベックの公立校と同等の規則で運営される私立高等教育機関
- ケベックの900時間以上のDVS/AVS課程を提供する機関(中等・後期中等、公共・私立を問わず)
- 州から学位授与権を認められた私立校の学位課程
- 有効な就学許可証を所持している、または維持ステータスにあること
- 就学許可証の条件欄にキャンパス内就労可の記載があること
最終学期のみ履修数が少なくなる場合でも、直前の学期まで全日制であれば、キャンパス内は引き続き無制限で働けます。通常は在籍校のキャンパスに限定されますが、助教・研究助手として研究助成に直結する業務は、学校と提携する図書館・病院・研究施設でも勤務できます。病院など公衆衛生分野で働く場合は、必要に応じて移民局指定の健康診断を完了する必要があります。
キャンパス内で働けないケース
- 全日制の在籍をやめた日の時点(最終学期の例外を除きます)
- 就学許可証の有効期限が切れたとき
- 学校から認可された休学中
- 転校手続き中で学業を実質的に行っていないとき
いずれも該当しなくなり、要件を再び満たせば勤務に戻れます。
キャンパス外で働く
要件を満たす留学生は、学期中は週24時間まで、休暇中は無制限でキャンパス外就労が可能です。雇用主と本人の双方に、就労許可証なしで働ける条件を満たしていることの確認責任があります。以下すべてを満たす必要があります。
- 指定教育機関(DLI)に全日制で在籍していること(最終学期の軽負荷履修の例外あり)
- 授業がすでに開始していること
- 6か月以上の課程で、学位・ディプロマ・サーティフィケートの取得につながること
- 課程の種類が以下のいずれかであること:
- 高等教育レベル(学術・職業・専門)
- ケベックの中等教育レベルの職業課程
複数の仕事を組み合わせて週24時間の上限に達する働き方も可能です。
学校の定める休暇と上限
- 夏季・冬季・リーディングウィークなどの「学校が定めた休暇」中は就労時間は無制限です。
- 休暇直前と直後の学期に全日制である必要があります(休暇中に履修があっても可)。
- 各暦年で、無制限で働ける日数の合計は最大180日です。
- 休暇とみなされるには、学校が公式に定め、連続7日以上である必要があります。単発の祝日は休暇に該当しません(7日以上の休暇期間に含まれる場合を除きます)。
- 連続する休暇により150日を超える場合、キャンパス外で働けるのは連続する最初の150日までです。
- 公式な休暇が設定されていない課程では、常に週24時間までに限られます。
キャンパス外で働けないケースと条件変更
- 就学許可証に「キャンパス外就労不可」と明記されている場合
- ESL/FSL(英語・フランス語)だけを学ぶ課程のみの在籍
- 教養・趣味目的の一般教養科目のみの履修
- 本課程への入学要件を満たすための準備科目のみの履修
途中で要件を満たさなくなった場合は、キャンパス外で働くには就労許可証が必要になります。逆に、以前は働けなかったが要件を満たすようになった場合は、就学許可証の条件変更を申請できることがあります。その際は、該当する理由を説明する書面を提出します。
勤務時間のカウント方法
IRCCは、学生がキャンパス外の勤務時間を自ら記録し、条件を継続的に満たしていることを示せるよう求めています。給与や歩合の対象となる時間は、待機中で実働していない時間も含めて計上します。自営業の場合も、報酬や売上、コミッションにつながる活動時間をすべて含めてカウントします。
インターン・Co-op(協同教育)
学位取得に必須のインターンやCo-opが課程に組み込まれている場合は、別途Co-op就労許可証が必要です。有効な就学許可証と、当該課程でインターン・Co-opが必須であることを示すDLI発行の証明書が求められます。Co-op・インターンが課程全体の50%以下であることが申請の条件です。以下に該当する場合はCo-op就労許可証の対象外で、一般の就労許可証が必要です。
- ESL/FSLの語学学習のみ
- 一般教養・興味関心向けの科目のみ
- 他の課程への入学準備のための科目のみ
リモートワーク(国外雇用主)
留学生は、就学許可の条件を満たす限り、カナダ国内から国外の雇用主に対しリモートで働くことができます。雇用・業務委託・フリーランスの形態を問わず、この勤務時間はキャンパス外24時間/週の上限に含めません。雇用主は、カナダに物理拠点がなく、カナダで事業運営をせず、カナダとの財務的なつながりがないことが必要です。カナダの労働市場に参入したり、カナダの顧客にサービス提供したり、カナダの事業体から報酬を受け取ったりすることはできません。
認可された休学(Authorized Leave)
一定の条件下で、IRCCは休学中でも「学業継続中」とみなします。休学は150日以内で、DLIの承認が必要です。休学中はキャンパス内外で働けません。以下の事由は認可された休学に該当します。
- 学校の恒久的閉校またはストライキ
- 転校による中断
- 本人または学校の都合による開始日の繰り延べ(次学期に開始し、新しい入学許可レターが必要です)
- 妊娠・健康上の理由、家族の緊急事態や重病・逝去、学校が承認したその他の休暇
この休学について、IRCCへの個別の届出は不要です。
参考サイト
Study Permit(就学許可)
https://www.canadavisa.com/canadian-temporary-study-visa.html
Work Permit(就労許可)
https://www.canadavisa.com/canadian-temporary-work-visa.html
Removal Order(退去命令)後の流れ
https://www.cicnews.com/2023/02/what-happens-after-you-receive-a-removal-order-in-canada-0231742.html
Working in Canada(カナダで働く)
https://www.canadavisa.com/working-in-canada.html
Social Insurance Number(SIN)取得ガイド
https://www.cicnews.com/2024/08/how-to-get-social-insurance-number-in-canada-0845527.html
International Studentsの遵守事項
https://www.canadavisa.com/international-students-in-canada-compliance.html
Work While Studying(在学中の就労)
https://www.canadavisa.com/work-while-studying.html
ケベックの進学・生活情報
https://www.canadavisa.com/landing-settlement-canada-quebec.html
移民局指定の健康診断
https://www.canadavisa.com/visiting-canada-find-out-if-you-need-a-medical-exam.html
Maintained Status(維持ステータス)の変更点
https://www.cicnews.com/2025/06/ircc-changes-rules-for-maintained-status-0656026.html
DLI(指定教育機関)への入学
https://www.canadavisa.com/get-admission-to-a-canadian-educational-institution.html
高等教育レベルの区分
https://www.canadavisa.com/levels-of-post-secondary-study-in-canada.html
IRCC(カナダ移民局)関連情報
https://www.canadavisa.com/ircc.html
Co-op Work Permit(協同教育の就労許可)
https://www.canadavisa.com/co-op-work-permits.html
DLI一覧(指定教育機関リスト)
https://www.canadavisa.com/designated-learning-institution-list.html
Letter of Acceptance(入学許可レター)
https://www.canadavisa.com/letter-of-acceptance-to-a-canadian-designated-learning-institution.html
無料相談(Cohen Immigration Law Firm)
https://www.canadavisa.com/wpteam.html?utm_source=cicnews.com&utm_medium=article&utm_campaign=2025-12-16_working-while-studying-canada-a-guide-for-international-students_59654
無料相談(Co-op Work Permit)
https://www.canadavisa.com/wpteam.html?utm_source=cicnews.com&utm_medium=article&utm_campaign=2025-09-16_working-while-studying-canada-a-guide-for-international-students_59654
CIC News
Working while studying in Canada: A guide for international students(英語)