今回の記事では、オンタリオ州が州独自で行う移民制度について紹介します。
2021年、オンタリオ州はカナダの新規永住者全体の約49%にあたる19万8000人の永住者を新たに迎え入れました。
オンタリオ州はカナダ最大の人口・都市であり、オンタリオ州の経済力、充実したサポート体制、確立された移民コミュニティにより、多くの新来者がオンタリオ州に定住することを選択しました。
オンタリオ州への移住を希望する人は、オンタリオ州移民ノミニープログラム(OINP)を通じて、9つプログラムから移民申請が可能です。
Provincial Nomineeとは?
Provincial Nominee Program(PNP)は、各州が地域の労働者ニーズをサポートできる移民を誘致する制度です。申請候補者がそれぞれのプログラムの特定条件を満たし、州から推薦された場合、カナダ移民局(IRCC)への永住権申請に進むことができます。
なぜオンタリオ州にPNPが必要なのか?
オンタリオ州は、すでに多くの移民を受け入れていたため、2007年にPNPを導入した最後の州でした。この制度の導入により、カナダに新しく来た人々が州内で経済的に自立する機会が増え、オンタリオ州は、労働力の不足を補うために適した人物を選ぶことができるようになりました。現在、カナダの各州と準州(ケベック州とヌナブト準州を除く)は、独自のPNPを運営しています。
オンタリオ州のPNPカテゴリーについて
オンタリオ州には4つのストリームがあり、各ストリームの中にさらにサブストリームがあるため、合計9つの州移民プログラムが存在します。
1.Human Capital Priorities Stream
このストリームはExpress Entryの申請システムと連携して運用されています。
Federal Skilled Worker Program(FSW)またはCanadian Experience Class(CEC)の申請資格を持っている人は、オンタリオ州内に定住する意思があることを証明すれば州レベルで同じストリームを通じ州のノミネーションを受けることも可能です。
2.French Speaking Skilled Worker Class
フランス語と英語、両方の公用語スキルを持つ人のために、オンタリオ州ではFrench Speaking Skilled Worker Classを設けています。このクラスは、就労経験、学歴、資金証明の点ではFSWPと同じですが、語学力でフランス語でCLB7、英語CLB6を持っていることが必要となります。
3.Skilled Trades Stream
Federal Skilled Trades Program (FSTP)のExpress Entryの申請資格を持つ人は、Skilled Trades Streamを通して州の推薦を受けることができます。これは、その職業において最低1年の職務経験があり、NOCコードのマイナーグループ633またはメジャーグループ72、73、82に該当している必要があります。
雇用主からのジョブオファーカテゴリー
Express Entryの申請資格がない場合、他のカテゴリーでノミネーションを通して州へExpression of Interest (EOI)を提出することが可能です。Expression of Interestは、州政府に直接ノミネーションを申請する場合のみ適用されます。これらのカテゴリーを選択した場合、OINPへの申請はノミネーションを受けた場合にのみ可能になります。
EOIを提出するには、自分が選択したプログラムの申請基準を満たしていること、EOIの内容に偽りがないことを示す証明書を記入する必要があります。ここから先は、州からのノミネーション申請の案内を待つことになります。
4.Foreign Worker Stream
これは海外にいる外国人労働者で、オンタリオ州の雇用主からジョブオファーを受けている人のためのパスウェイです。
NOCコード0、A、Bに該当し、ライセンス(必要な場合)または同職種での2年の職務経験を証明できることが必要です。
5.International Graduates
このストリームは、海外の大学を卒業し、オンタリオ州の雇用主からジョブオファーを受けた方を対象としています。
NOC 0、A、Bに該当する仕事であることが必要です。
学歴の要件は下記の通りです
フルタイムで学習する場合、修了までに少なくとも2年かかる学位またはDiploma
フルタイムで学習する場合、修了までに少なくとも1年かかる学位、Diploma、またはCertificate
6.In-demand Occupations
カナダ国内外を問わず、NOC CまたはDに該当する経験を持つ人は、オンタリオ州で緊急に労働力を必要としている職種での職務経験がある場合ノミネーションを申請することができます。雇用のオファーがGrater Toronto Area(GTA)内か外かによって、職種が若干異なります。
以下の職種は、GTAを含むオンタリオ州内であればどこでも適用可能です。
NOC 3413 – nurse aides, orderlies and patient service associates
NOC 4412 – home support workers and related occupations, excluding housekeepers
NOC 7441 – residential and commercial installers and servicers
NOC 7511 – transport truck drivers
NOC 7521 – heavy equipment operators (except crane)
NOC 7611 – construction trades helpers and labourers
NOC 8431 – general farm workers
NOC 8432 – nursery and greenhouse workers
NOC 8611 – harvesting labourers
NOC 9462 – industrial butchers and meat cutters, poultry preparers and related workers
下記職種は、GTA以外の地域でジョブオファーを持つ人にのみ適用されます。
NOC 9411 – machine operators, mineral and metal processing
NOC 9416 – metalworking and forging machine operators
NOC 9417 – machining tool operators
NOC 9418 – other metal products machine operators
NOC 9421 – chemical plant machine operators
NOC 9422 – plastics processing machine operators
NOC 9437 – woodworking machine operators
NOC 9446 – industrial sewing machine operators
NOC 9461 – process control and machine operators, food, beverage and associated products processing
NOC 9523 – electronics assemblers, fabricators, inspectors and testers
NOC 9526 – mechanical assemblers and inspectors
NOC 9536 – industrial painters, coaters and metal finishing process operators
NOC 9537 – other products assemblers, finishers and inspectors
7.8 Master and PhD Categories
残りの2つのプログラムは、オンタリオ州の大学を卒業し、同州に留まる予定の修士課程学生および博士課程学生に特化しています。修士課程(Masters Graduate )ストリームは、オンタリオ州の認可された大学で少なくとも1年間勉強し、プログラムを卒業することが条件です。博士課程(PhD)の学生は、博士課程の少なくとも2年間をオンタリオ州で修了する必要があります。どちらのストリームでも、申請者は過去2年のうち少なくとも1年間はオンタリオ州に住んでいる必要があります。
9. Entrepreneur Category
このカテゴリーは他と比べて少し異なる仕組みになっています。このカテゴリーでの申請者もEOIの提出は必須ですが、Invitation To Apply(ITA)を受けた場合、必ずインタビューがあり、Performance Agreement(パフォーマンス契約書)に署名する必要があります。これが通った場合、ワークパーミットが発行され、その後カナダ入国からの20ヶ月間、ビジネスプランを実行し、最終審査を受けることになります。ビジネス要件を満たした申請者は、永住権の申請書類を提出することになります。
まとめ
オンタリオ州の移民定着率は93%以上です。この要因は、OINPのようなPNPが新来者の経済的確立を促進するだけでなく、州の利益にもつながるという点で成功をしているからだと考えられます。2021年、オンタリオ州は州のノミネーションで約9,000のITAを発行し、2022年にはこの数を超える勢いだと予想されています。