カナダ市民権証明書とは
カナダ市民権証明書は、カナダ政府が発行する公的な「カナダ市民であることの証明書」です。海外で生まれた人でも、出生前に少なくとも片方の親が出生または帰化によりカナダ市民であった場合、対象になる可能性があります。自動的に市民権を持っている人でも、カナダのパスポート申請などのために公式な「市民である証明」としてこの証明書が必要になります。なお、市民権証明書は渡航文書ではありませんので、旅行には使用できません。
対象となる人(市民権の血統取得とFGL)
海外で生まれ、親(実親または法的親)がカナダで生まれた、またはあなたの出生前に帰化している場合、あなたは原則としてカナダ市民であり、市民権証明書を申請できます。親から自動的に市民権を受け継ぐ仕組みは「血統による市民権」と呼ばれます。
現行法では、血統による市民権は海外出生の「第一世代」に限定されています。つまり、親自身が血統によりカナダ市民である場合、その子は自動的には市民権を得ません。これが「第一世代制限(FGL)」です。
また、既存の証明書を紛失・盗難・破損した場合や、改名などで記載内容の更新が必要な場合も、新しい証明書を申請できます。
FGLの変更動向(暫定措置と法改正案)
FGLの影響を受ける人でも、一定の条件で市民権を得られる可能性があります。2025年3月13日、政府は暫定措置を導入し、FGLの対象者のうち、親が「カナダとの実質的なつながり」を満たす場合に、裁量による市民権付与の申請機会を認めました。
「実質的なつながり」は、子の出生または養子縁組の前に親がカナダで合計3年以上(1,095日)滞在していることと定義されています。
さらに、2025年6月5日に提出された法案C-3は、現行のFGLを、親が上記の実質的なつながりを満たす場合に限り撤廃し、自動的な市民権付与を可能にする内容です。まだ第1読会段階であり、今後の審議、上下院の可決、国王裁可を経て成立する必要があります。
第一世代制限の例外
以下に該当する場合、第二世代以降の海外出生者でもFGLが適用されず、市民権証明書の対象になり得ます。
- 出生時点に、カナダ人の親が海外でクラウン・サーヴァント(王室奉仕者)として勤務していた場合(対象機関:カナダ軍、連邦公務、州・準州の公務)
- または、親の出生・養子縁組時点に、カナダ人の祖父母が同様の職に就いていた場合
申請前の確認
IRCCのオンラインツール「Am I a Canadian?」で、自分または子どもがカナダ市民に該当する可能性を事前確認できます。これはあくまで目安であり、正式な確認には市民権証明書の申請と審査が必要です。
申請方法(オンライン/紙)
オンライン申請と紙申請のいずれも受け付けています。一般的な流れは次のとおりです。
ステップ1:申請キットを入手します(手引き、チェックリスト、各種申請書類)。
ステップ2:必要書類を準備して添付します(チェックリスト参照)。代表的なものは以下です。
- 市民権証明書申請書(CIT 0001、署名・日付入り)
- 氏名・生年月日を示す政府発行IDを2点(運転免許証、パスポート、ヘルスカード等)。うち1点は写真付きである必要があります
- 商業写真館で撮影した同一の写真2枚(オンライン申請は1枚)。市民権申請の写真規格に適合している必要があります
- 英語またはフランス語以外の書類は翻訳と宣誓供述書(翻訳者)
- 代理人を利用する場合は代理人使用届(IMM 5476、署名・日付入り)
- 個別事情に応じた追加書類(IRCCが想定する7つのシナリオに応じた証憑)
不足書類や特記事項がある場合は、事情説明書を同封します。該当しない設問には「Not applicable」または「NA」と記入します。
ステップ3:申請手数料75カナダドル(1人あたり、返金不可)を支払います。家族で複数件を提出する場合は一括で支払います。オンラインでの支払いが原則ですが、カナダと米国外在住でインターネット環境がない場合は、提出先の在外公館で支払う方法もあります。領収書は申請にコピーを同封し、控えも保管します。
ステップ4:申請を提出します。
- 紙申請(カナダ/米国内から):受領確認(AOR)がメールまたは郵送で届き、10桁のUCI(個人識別番号)が通知されます。
- 紙申請(その他の地域):提出場所またはメールでAORが届きます(メール提供時)。
- オンライン申請:オンラインアカウント上でAORが届き、UCIが記載されます。
処理期間と目安
市民権証明書の標準的な処理期間は、執筆時点で少なくとも5か月です。以下に該当する場合はさらに時間を要します。
- カナダ・米国外から在外公館経由で申請した場合:追加で約3~4か月
- カナダ・米国外在住の未成年について、シドニー(ノバスコシア)のCPCに申請する場合:追加で約6~8か月
審査開始までタイムラグが生じることがあります。内容が複雑なケースでは追加資料の提出を求められる場合があり、その分、全体の期間が延びます。
福祉の受給、就学・就業上の必要性、人種・宗教・性的指向等に起因する危険や困難の回避など緊急性がある場合は、緊急処理を依頼できます。依頼には説明書と裏付け資料が必要です。緊急対象であっても、所定期日までの到着が保証されるわけではありません。
裁量による市民権付与の申請手順(暫定措置)
2025年3月13日の暫定措置に基づく裁量付与を希望する場合でも、まずは市民権証明書の「完全な申請」を提出します。FGLにより自動付与の対象外と判断されたうえで、暫定措置の基準に該当する可能性があるとIRCCが判断した場合、次の対応が行われます。
- FGLが現時点で適用される旨の通知
- 裁量付与の申請への招待(審査のうえ、付与の可否をIRCCが決定します)
親の「カナダとの実質的なつながり」に関する追加情報の提出を求められる場合があります。招待を受ける前に、裁量付与を自己申請することはできません。
証明書の申請が不要な人
カナダ国内で生まれた子は、原則として出生時に自動で市民権を取得し、出生証明書が市民権の証明として機能します。そのため、市民権証明書の申請は不要です。帰化によりカナダ市民となった人も、市民権取得時に自動で市民権証明書が交付されます。なお、外交官の子など一部には例外があります。
参考サイト
カナダ市民であることの証明(無料法律相談)
https://www.canadavisa.com/applying-for-proof-of-citizenship.html
カナダパスポート案内
https://www.canadavisa.com/passport.html
帰化市民の申請ガイド
https://www.canadavisa.com/applying-canadian-citizenship.html
カナダ市民権・移住・定住の情報
https://www.canadavisa.com/canadian-citizenship-immigration-and-settlement-in-canada.html
カナダ市民権のメリット
https://www.cicnews.com/2021/06/what-are-the-benefits-of-canadian-citizenship-0618441.html
法案C-3の動向
https://www.cicnews.com/2025/06/new-bill-would-restore-citizenship-to-lost-canadians-0656244.html
Am I a Canadian?(自己判定ツール)
https://ircc.qualtrics.com/jfe/form/SV_3pJ5oXgZNBj0r1c?Q_Language=EN
チェックリスト(CIT 0014)
https://www.canada.ca/en/immigration-refugees-citizenship/services/application/application-forms-guides/cit0014.html
手数料のオンライン支払い
https://ircc.canada.ca/english/information/fees/pay.asp
処理期間の目安
https://www.canadavisa.com/canada-immigration-processing-times.html
CIC News
Do you qualify for a Canadian citizenship certificate?(英語)
www.cicnews.com/2025/08/do-you-qualify-for-a-canadian-citizenship-certificate-0858836.html