法案の位置づけと現状
カナダの移民制度を大きく変える法案C-12が上院で第3読みを可決しました。上院で修正が入ったため、下院で同じ内容のまま第3読みを可決し、ロイヤルアセント(国王裁可)を受けると成立します。
主な改正点(3分野)
- 申請や身分証明に対する行政の新しい権限
- 難民申請の制度見直し
- 個人情報の共有ルールの拡大
行政の新しい権限(Executive powers)
成立後は、連邦内閣(Governor in Council)が次の命令を出せるようになります。
- 移民申請の受付停止、審査の一時停止、審査の打ち切り
- 就労許可、就学許可、訪問者ビザ、永住ビザなどの取消し・停止・条件変更
- 一時滞在者(Temporary Residents)への条件付与や条件変更
これらは「行政上の誤り、不正、公衆衛生、公衆の安全、国家安全保障」に関わる公益が理由の場合に使えると定義されます。命令の発動後は、移民大臣が国会に理由と影響を受けた人の概要を報告する義務があります。
難民制度の見直し(Asylum reform)
難民申請が難民審判所(IRB)へ送致できない新しい不適格事由が2つ追加されます。
- 2020年6月24日以降に初めて入国し、最初の入国日から1年を超えて申請した人(1年超の遅延申請)
- 米加陸路の国境で入国審査場所以外から入った人の申請
現行では、米加陸路の国境で入国審査場所以外から入った場合でも、入国から14日以上経過していれば申請が可能でした。この点が大きく変わります。新しい不適格事由は、前身のC-2法案が初めて提出された2025年6月3日にさかのぼって適用されます。
IRBへの送致が不適格となった人でも、送還前リスク審査(PRRA)には申し込めます。施行から5年後には、1年超の遅延申請に関する受理件数とPRRAの件数・結果について、移民当局が国会に毎年報告することが義務づけられます。
追加の見直しとして、保護を求めた出身国へ自発的に戻った場合は申請放棄とみなすこと、カナダ国外からの難民申請は原則として扱わないことが定められます。
個人情報の共有(Information sharing)
移民当局は、個人の氏名・身元、カナダでの在留ステータス、大臣権限で発給された書類などの情報を、他の政府機関や政府系法人に開示できるようになります。さらに、移民大臣の許可があれば、それらの機関が海外の組織へ情報を共有することも可能になります。
ただし、上院の修正により、カナダ市民と永住者はこの情報共有の対象外になります。
包括的見直しと国会の監督
施行から5年後、国会の委員会が本法の運用と影響を審査し、所見と必要な提言を国会に報告します。
制度変更が与える影響
- 申請手続きやビザの発給・維持が、公益上の理由で急に止まる、変わる、取り消される可能性が高まります。
- 難民申請は、入国経路や申請までの期間によって不適格となる範囲が広がります。
- 個人情報の機関連携が拡大しますが、市民と永住者は対象外です。
成立までの流れ
上院で修正入りのまま第3読みを可決したため、下院でも同一内容で第3読みを可決し、その後にロイヤルアセントを受けると法律になります。同一の条文が上下両院で可決されることが必要です。
参考サイト
上院の修正に関する記事
https://www.cicnews.com/2026/03/major-immigration-bill-amended-by-senate-0371193.html
CIC News
Greatest immigration reforms in decades pass key milestone toward law(英語)