背景
カナダの首相カーニー氏は、第二次世界大戦後に形づくられた「ルールに基づく国際秩序」が2025年1月までに大きく揺らいだ現実を指摘しました。強大国が外交の建前を捨て、力や威圧、保護主義を前面に出し、国益をゼロサムで奪い合う時代に入ったという認識です。
- 強大国に迎合して譲歩を重ね、経済的な従属に甘んじる道
- 自国優先の保護主義に転じ、世界が要塞化して繁栄がしぼむ道
- 共通の価値や利害ごとに柔軟な連携を組む「可変的な連合(バリアブル・ジオメトリー)」という「第三の道」
カーニー氏は、中堅国にとって最も前向きなのは三つ目の「第三の道」だと明言しました。
第三の道と移民政策の役割
連邦政府は「第三の道」を進めるため、国内の国づくりと国際協定の二つの柱で移民戦略を活用します。新規移住者や留学生、企業人材が活躍しやすい制度を広げ、国内投資と国際連携を同時に強める設計です。
国づくりプロジェクトと就労の道
道路、鉱山、港湾、住宅などへの大型投資を進める計画を支えるため、即戦力の受け入れを広げています。
- 一時就労: 一時就労プログラムでは、建設・製造などの技能職、資源、医療など需要が高い分野を優先し、対象職種の配偶者がオープンワークパーミットを取りやすい仕組みがあります。低賃金枠は失業率が低い地域に限る制限がありますが、高賃金枠や優先職種は全国で許可の道があります。
- 留学後の就労: カナダの学士・修士・博士を修了した留学生は、最長3年間の就労許可で就業できます。職業専門学校などの後期中等教育後プログラムでも、多くのコースが対象となり、農業、技能職、教育、医療、STEMなど需要分野のキャリアにつながります。
- 企業内転勤: 多国籍企業の社員がカナダ拠点を立ち上げる場合、企業内転勤の特別な就労許可が利用できます。
- 新たな就労ルート: 農業や水産加工に特化した新しい就労ストリームの整備が進んでいます。
永住への道
永住権の中核であるエクスプレス・エントリーでは、重要インフラに直結する職種を重視する方向です。具体的には、機械工、溶接工、屋根工などの技能職、看護師、マッサージセラピスト、ソーシャルワーカーなどの医療・福祉領域が例示されています。さらに、科学者、研究者、上級管理職、軍関係者を対象にした新たな永住ルートの検討も公表されています。
国際協定によるチャンス拡大
第三の道は、自由で公平な貿易のネットワークづくりでも支えられます。包括的経済貿易協定や環太平洋パートナーシップなどの自由貿易協定では、特定の専門・技術職に特別な就労許可を用意しています。
カナダはすでに51か国をカバーする15の自由貿易協定を持ち、ASEAN、メルコスール、エクアドルとの新協定づくりも進行中です。二国間のユースモビリティ協定も36か国と結び、18~30歳または18~35歳向けの就労許可(インターナショナル・エクスペリエンス・カナダ)を提供しています。
日本人にとってのポイント
- 技能職や医療・福祉は、就労・永住ともに優先度が高いです。該当資格がある場合は、要件の確認で前進しやすいです。
- カナダの大学・大学院・カレッジを修了した場合、就労許可で実務経験を積み、その後の永住申請につなげやすいです。
- 企業内転勤や自由貿易協定に基づく就労枠は、日系企業のカナダ展開や専門職の渡航で活用余地があります。
- ユースモビリティ枠は年齢要件に注意が必要です。対象年齢のうちに準備を進めると有利です。
参考サイト
一時就労・LMIA(概要)
https:\/\/www.canadavisa.com\/labour-market-impact-assessments.html<\/a><\/p>
配偶者オープンワーク許可(対象職)
https:\/\/www.cicnews.com\/2025\/01\/these-are-the-teer-2-and-3-jobs-that-can-still-get-your-spouse-a-family-open-work-permit-0150760.html<\/a><\/p>
低賃金LMIAの地域拡大(予定)
https:\/\/www.cicnews.com\/2026\/01\/canada-to-start-processing-low-wage-lmias-in-more-regions-in-q1-2026-0164611.html<\/a><\/p>
ポスグラ就労許可(PGWP)
https:\/\/www.canadavisa.com\/post-graduation-work-permit-program.html<\/a><\/p>
PGWP対象プログラム一覧
https:\/\/www.canadavisa.com\/pgwp-eligible-study-programs.html<\/a><\/p>
企業内転勤(ICT)
https:\/\/www.canadavisa.com\/intra-company-transfer-program.html<\/a><\/p>
農業・水産加工の新就労ストリーム(計画)
https:\/\/www.cicnews.com\/2025\/06\/ircc-plans-new-foreign-worker-stream-for-agriculture-and-fish-processing-0657093.html<\/a><\/p>
エクスプレス・エントリー(概要)
https:\/\/www.canadavisa.com\/express-entry.html<\/a><\/p>
エクスプレス・エントリー優先カテゴリ
https:\/\/www.canadavisa.com\/eecategories.html<\/a><\/p>
CETA(包括的経済貿易協定)
https:\/\/www.canadavisa.com\/comprehensive-economic-and-trade-agreement-ceta.html<\/a><\/p>
CPTPP(環太平洋連携)
https:\/\/www.canadavisa.com\/cptpp-professionals-and-technicians.html<\/a><\/p>
IRCC 2025-26 年間計画の主な変更
https:\/\/www.cicnews.com\/2025\/06\/major-changes-announced-in-irccs-2025-2026-departmental-plan-0657047.html<\/a><\/p>
インターナショナル・エクスペリエンス・カナダ(IEC)
https:\/\/www.canadavisa.com\/international-experience-canada-program.html<\/a><\/p>
CIC News
ANALYSIS: How Canada’s immigration strategy supports Carney’s “third path” to global prosperity(英語)