PGWP申請で起こりやすいミスと影響
卒業後の就労許可(PGWP)は、カナダの高等教育機関を修了した留学生が申請できるオープンワークパーミットです。多くの雇用主・業種で働け、学習期間に応じて最長3年まで発給されます。小さな思い違いや提出漏れでも不許可になることがあるため、最新ルールを踏まえて準備することが大切です。
| 要因 | 内容 | 影響 |
| PGWP対象外のプログラムを選ぶ | 2024年以降、学位以外のプログラムはIRCCのCIPコード対象分野に該当が必要です。 | 対象外ならPGWP資格が得られません。 |
| フルタイム在籍を維持しない | 最終学期を除き、各学期でフルタイム在籍が必要です。 | 最終学期以外でパートタイムだと対象外になります。 |
| 許可のない就労 | 就学許可に記載の条件の範囲内でのみ就労できます。現在の学外就労は週24時間までです。 | 無許可就労はステータス喪失やPGWP不許可につながります。 |
| 国外での履修完了 | パンデミック期のオンライン例外は、2024年9月1日以降に開始した学生には適用されません。 | カナダ外での修了割合が要件に合わないと対象外になります。 |
| 語学テスト未受験 | 2024年11月1日以降、英語または仏語のスコア提出が必要です。 | 未提出・不足スコアは不許可になります。 |
| 申請の遅れ | 修了確認(成績証明や修了レター)から180日以内に申請が必要です。 | 期限超過の申請は通常不許可です。 |
| 不完全な申請 | 修了証明、フルタイム在籍証明、語学結果、対象分野の証明、必要な場合の健診結果などが必要です。 | 不足は遅延や不許可の原因になります。 |
| 旅券の有効期限切れ・近い | PGWPの有効期限は旅券の有効期間を超えられません。 | 短い許可しか出ない、または再申請が必要になります。 |
| 一時滞在の真性性を示せない | 許可の条件を守り、在留期限に出国できる意図を示す必要があります。 | 説得力が弱いと不許可理由になります。 |
| 入国不可事由(inadmissibility) | 安全保障、犯罪、医療、資金、虚偽申告、家族の入国不可などが該当します。 | 入国拒否や退去の対象になります。 |
PGWP対象外のプログラム選びを避ける方法
全てのプログラムがPGWP対象ではありません。2024年導入の新ルールでは、学士・修士・博士以外のプログラムは、IRCCが定めるCIPコードの対象分野に入っている必要があります。対象分野は追加と削除があり、一部の削除は2026年初頭まで猶予があります。学位以外のプログラムでPGWPを目指す場合は、入学前に必ず対象分野リストを確認します。
入学後に専攻やプログラムを変更した場合は、新しい就学許可の申請時点の対象状況で判定されます。CIPコードはStatistics Canadaの公式ページで検索できます。プログラム説明と一致するか確認して間違いを避けます。
フルタイム在籍の維持
各学期でフルタイム在籍を継続することが条件です。最終学期のみパートタイムが認められています。所属学校に、履修登録や単位数が各学期でフルタイム要件を満たしているかを必ず確認します。
許可範囲外の就労をしない
就学中の就労は、就学許可に記載された条件の範囲内に限られます。学外就労は現在、週24時間までです。条件に反するとステータス喪失、将来の就労許可不許可、退去のリスクにつながります。
国外での履修完了に注意
オンライン履修の特例は、2024年9月1日以降に学業を開始した学生には適用されません。PGWPを目指す場合は、必要な対面要件を満たして修了する必要があります。
語学テストの提出
2024年11月1日以降は、英語またはフランス語のスコア提出が必要です。提出時点で2年以内の結果のみ有効です。必要水準はプログラムにより異なり、概ねカレッジ系(学士を除く)はCLB5、大学の学士・修士・博士などはCLB7が目安です。英語はCELPIP、IELTS General Training、PTE Core、仏語はTEF Canada、TCF Canadaが受け入れ対象です。
申請期限(180日)の厳守
修了レターや最終成績などの公式な修了確認を受けてから180日以内に申請します。期限を過ぎると原則として不許可になります。
不完全な申請を避けるチェックリスト
オンライン申請が原則です(障がい等の事情がある場合を除きます)。次の書類を用意します。
- 修了証明:学位・ディプロマ、学校の公式レター、公式成績証明(または学校サイトの公式PDF等)
- フルタイム在籍証明:DLI発行の公式成績証明やその公式ウェブ版
- 語学テスト結果
- 対象分野(CIPコード)の証明
- 必要な場合の事前医療検査結果
申請末尾でオープンワーク許可保持者手数料と就労許可手数料の両方を支払います。全書類の整合性と正確性を送信前に再確認します。
旅券(パスポート)の有効期限管理
PGWPの有効期限は旅券の有効期間を超えられません。旅券の有効期限が近い場合は、申請前に更新しておくと短期発給や紙申請での延長手続きの手間を避けやすくなります。更新前に短いPGWPが出た場合は、旅券更新後に紙でPGWP延長を申請します。延長待ちの間に出国すると維持ステータスを失い、就労できなくなるおそれがあります。
一時滞在の真性性(デュアルインテントの取り扱い)
永住を将来考えていても、一時滞在者としての条件を守る意思を示せれば問題ありません。PGWP申請では、許可条件違反やオーバーステイをしないことを、母国との結びつきなどの資料で示します。不十分な説明は不許可の理由になります。
入国不可事由への対策
資金、医療、虚偽申告、犯罪、国家安全保障、家族の入国不可などに該当する場合、入国拒否や退去の対象になります。就学許可の条件違反も入国不可の理由になり得ます。該当しないよう、正確な申告と条件順守が重要です。
PGWPの主な資格要件
PGWPは一度きりの制度です。過去にPGWPを受けた人は再申請できません。主な要件は次のとおりです。
- DLIでPGWP対象プログラムを修了していること
- プログラムの期間が8か月以上(ケベックの一部は900時間以上)であること
- 各学期でフルタイム在籍を維持したこと
- 修了から180日以内にPGWPを申請したこと
- 修了後180日の間に、少なくとも一時点で就学許可が有効であったこと
参考サイト
PGWP対象分野(CIPコード)一覧
https://www.canadavisa.com/pgwp-eligible-study-programs.html
対象分野ルール(解説)
https://www.canadavisa.com/pgwp-eligible-study-programs.html
PGWP対象分野の削除延期(ニュース)
https://www.cicnews.com/2025/07/canada-postpones-removal-of-study-programs-from-pgwp-eligibility-0757405.html
Statistics Canada CIPコード検索
https://www.statcan.gc.ca/en/subjects/standard/cip/2021/index
留学生の学外就労時間(24時間)
https://www.cicnews.com/2024/09/how-many-hours-can-you-work-as-an-international-student-in-canada-0946243.html
PGWPの公式案内(IRCC)
https://www.canada.ca/en/immigration-refugees-citizenship/services/study-canada/work/after-graduation/about.html
入国不可事由(解説)
https://www.canadavisa.com/immigration-inadmissibility.html
Cohen Immigration Law Firm(PGWP無料相談)
https://www.canadavisa.com/wpteam.html?utm_source=cicnews.com&utm_medium=article&utm_campaign=2025-10-28_10-factors-that-could-jeopardize-your-post-graduation-work-permit-application_61085
CIC News
10 factors that could jeopardize your post-graduation work permit application(英語)