新ルールの概要
LMIAが必要な求人では、カナダ政府のJob Bankで「Direct Apply(直応募)」機能を必ず有効化し、同機能から届く全ての応募を受理し審査する必要があります。従わない場合は広告要件を満たさず、LMIAが不承認になる可能性があります。既存の掲載中求人にも直応募の適用が可能です。
雇用主への影響
従来は、LMIA対象の募集について、Job Bankで少なくとも連続4週間の掲載と、別媒体での追加募集を最低2つ実施する必要がありました。新ルールではこれに加え、直応募の有効化と、同機能経由の履歴書を全件受理・審査することが義務化されました。
Job Bank上で直応募を無効にしたまま掲載したり、直応募で届いたカナダ市民や永住者、または一時居住者の履歴書を無視した場合、Job Bank側で当該求人に制限が課されます。結果として、LMIAに必要な最低4週間の募集期間を満たせなくなるおそれがあり、LMIA申請が不承認になるリスクがあります。
直応募の有効化に加え、企業サイトやLinkedIn、指定の応募ポータルなど、応募方法を少なくとも2種類、別途提示する必要は引き続きあります。
Job BankとLMIAの広告要件
Job Bankは政府運営の求人サイトで、LMIAが必要な採用では、広告要件の順守のためにここでの掲載が求められます。多くのLMIA対象職種は、承認手続きの一環として広告が必要です。これは、当該職務に就けるカナダの市民や永住者が見つからず、外国人労働者の採用が必要であることを示すためです。
一方で、広告要件が免除される職種もあります。例として以下が挙げられます。
- 訪問教授、ポスドク、客員講師など特定の学術職
- キャンプカウンセラー
- 一部のエンタメ関連職
- 在宅介護者(In-Home Caregivers)
免除対象の詳細は専用ページで確認できます。
一時就労者受け入れ制度(TFWP)の背景
LMIAに基づく就労許可はTFWPを通じて処理され、農業、製造、介護などの分野で人手不足の補完に重要な役割を果たしてきました。近年は、賃金や労働条件への影響、国内人材の採用努力が不十分になる懸念、外国人労働者数の増加などの指摘が強まり、制度の見直しが注目されています。今回の直応募義務化は、こうした懸念に対する対応の一つであり、住宅供給や物価の課題を踏まえた一時居住者数の抑制方針の一環でもあります。
求職者への影響
LMIA対象求人で直応募が有効化されることで、求職者はJob Bankのポータルから直接応募できるようになります。Job Bankの求職者Plusアカウントを持つ応募者は、求人の「Direct Apply」を押し、登録済みの履歴書を選んでそのまま送信できます。これにより、企業ごとに別サイトへ移動したり、新たにアカウントを作成したりする手間を省けます。
参考サイト
LMIAの概要
https://www.canadavisa.com/labour-market-impact-assessments.html
LMIA広告要件のバリエーション
https://www.canadavisa.com/variations-to-minimum-advertising-requirements-lmia.html
LMIA広告要件の免除一覧
https://www.canadavisa.com/lmia-advertising-exemptions.html
TFWP(制度概要)
https://www.canadavisa.com/temporary-foreign-worker-program.html
TFWPに関する最近の議論
https://www.cicnews.com/2024/08/tfwp-takes-center-stage-as-ministers-considers-further-reforms-0845865.html
CIC News
New advertising rules for employers seeking Labour Market Impact Assessments(英語)