2026年のPNP目標の概要
連邦政府は、2026年の州推薦プログラム(PNP)による永住権の受け入れ目標を9万1,500人に設定しました。前年に提示された5万5,000人の目標から大幅に増やし、全国のPNP候補者に追い風となる内容です。翌年分以降の参考値も併せて示され、2027年も前年発表値に比べて約67%の増加となる見通しです。移民レベル計画では、直近の年度の受け入れ目標と、その後2年分の参考目標が示されます。
増加が候補者に与える影響
多くのPNPは、その州で働いたり学んだりした人を主に選びます。今回の配分増により、就労許可や就学許可でカナダにいる一時滞在者が、永住権へ進みやすくなります。
高いCRSスコアや高いフランス語力がない人にとって、PNPはエクスプレス・エントリーの良い代わりの道になります。特に、卒業後就労許可(PGWP)を持つ人は、永住申請に進みやすい人が多く、恩恵を受けやすいです。州から推薦を受けて永住を申請したPGWP保持者は、審査中に就労を切らさないためのブリッジング・オープン・ワークパーミット(BOWP)も使いやすくなります。
影響を強く受ける人
- エクスプレス・エントリーの抽選で想定されるカットオフに届くCRSスコアがない人
- カナディアン・エクスペリエンス・クラス(CEC)の条件に合わない人
- NOC TEER 4や5といった、より技能レベルが低い職種の人
- 州のビジネスや起業系の特定ストリームで永住を狙う人
- カナダ国外から永住を狙う人
- 留学先の州で学び、同じ州からの推薦を目指す留学生の卒業生
配分の拡大は、人手不足に向き合う雇用主の支えにもなります。2025年にエクスプレス・エントリーで「雇用オファーによる追加CRS点」が外れる予定のため、外国人を雇い続けたい雇用主にとってPNPの重要性はさらに高まります。
指標と配分の仕組み
受け入れ目標は、招待(ITA)や州推薦の件数そのものではありません。カナダが実際に受け入れる人数の見込みを示す指標です。目標を満たすため、IRCCは各州に毎年の推薦配分数を割り当てます。これは、その年に各州がPNPで推薦できる申請者数です。
永住申請の処理には時間がかかるため、配分増は翌年以降の受け入れ実績として表れることもあります。配分が増えれば、州は独自の抽選でより多くの候補者を招待できます。なお、辞退や無効申請に備えるため、ITAの数は推薦数より多くなるのが一般的です。
2025年のPNP動向
前回の移民レベル計画(2025~2027年)では、前年の発表値と比べてPNPの受け入れ目標が半分に下げられました。
| 年 | 移民レベル計画 2025-2027(2024年公表) | 移民レベル計画 2024-2026(2023年公表) |
| 2025年 | 55,000 | 120,000 |
| 2026年 | 55,000 | 120,000 |
| 2027年 | 55,000 | --- |
この見直しに合わせ、年初には多くの州と準州で配分が半減しました。各地のPNPは、一部ストリームの停止や終了、対象分野をしぼった受け付けなどの調整を行いました。主な例は次のとおりです。
- ブリティッシュ・コロンビア州は、新設予定だった3つの新卒向けストリームの開始を停止し、2024年9月1日以降のインターナショナル・ポストグラデュエイト申請を順番待ちにしました。
- ノバスコシア州は、医療、福祉、建設で働き、2025年に就労許可が切れる人を優先しました。
- プリンスエドワードアイランド州は、医療、技能職、保育など人手不足が大きい分野の技能労働者を優先しました。
- ニューブランズウィック州は、医療、教育、建設の技能職を優先し、ストラテジック・イニシアチブ・ストリームの新規EOI受け付けを止めました。
- サスカチュワン州は、原則として海外からの採用をしぼり、医療、農業、技能職を中心にしました。さらに、運輸、小売、宿泊・飲食では推薦を25%に上限設定しました。
一方で、2025年のはじめ以降、オンタリオ州とプリンスエドワードアイランド州を除く多くの州・準州が連邦政府と交渉し、より高い推薦配分を獲得しました。地域の労働市場の需要に応えるための動きが続いています。
PNPの基本
PNPは1998年に始まりました。大都市圏にかたよらず、移民の経済効果を広く行き渡らせるための仕組みです。技能労働者にとって、エクスプレス・エントリーに次ぐ人気の道です。
PNPには2つの道があります。ベース・ストリームはエクスプレス・エントリーの外で動き、州の条件で選ばれた後、IRCCに別で永住申請を出します。エンハンスト・ストリームはエクスプレス・エントリーと連動し、州が連邦プールから人を選んで推薦します。推薦が付くとCRSに600点が加算され、その後の抽選でITAをほぼ確実に得られます。どちらの道でも、州の条件と連邦の受け入れ条件を満たす必要があります。
参考サイト
PNP強化ストリームの適格性チェック
カナダで働く
https://www.canadavisa.com/working-in-canada.html
カナダ留学の選択肢
https://www.canadavisa.com/study-in-canada-options.html
就労許可
https://www.canadavisa.com/canadian-temporary-work-visa.html
就学許可
https://www.canadavisa.com/canadian-temporary-study-visa.html
永住権の基本
https://www.canadavisa.com/canadian-immigration-residency-obligations.html
エクスプレス・エントリー
https://www.canadavisa.com/express-entry.html
CRS(総合ランキングシステム)
https://www.canadavisa.com/express-entry-comprehensive-ranking-system.html
卒業後就労許可(PGWP)
https://www.canadavisa.com/post-graduation-work-permit-program.html
ブリッジング・オープン・ワークパーミット(BOWP)
https://www.canadavisa.com/bridging-open-work-permit.html
カナディアン・エクスペリエンス・クラス(CEC)
https://www.canadavisa.com/canadian-experience-class.html
NOC TEER
https://www.canadavisa.com/noc2021.html
州推薦(ベースとエンハンスト)
https://www.canadavisa.com/base-and-enhanced-provincial-nominations.html
2025年に雇用オファーの追加CRS点を削除
2025年の受け入れ目標を削減
https://www.cicnews.com/2024/10/breaking-canada-to-cut-immigration-by-20-in-2025-1047596.html
ブリティッシュ・コロンビア州のPNP変更
ノバスコシア州の優先運用
ニューブランズウィック州の配分増
サスカチュワン州の推薦上限
https://www.cicnews.com/2025/08/saskatchewan-receives-increased-immigration-quota-0859078.html
各州の配分再交渉の動き
CIC News
Canada to increase provincial immigration by 66% in 2026(英語)
www.cicnews.com/2025/11/canada-to-increase-provincial-immigration-by-66-in-2026-1161733.html