施行日と対象範囲
2026年3月1日から、カナダの共通法地域(ケベック州を除く)で資格認定を目指す海外で法学教育や実務経験を積んだ弁護士は、新しい要件に対応する必要があります。認定を担当する機関は、National Committee on Accreditation(NCA)です。NCAはカナダ国外またはカナダの民法系課程で学んだ人の学歴と職歴を評価する機関です。
新たに追加された2つの要件
以下の2点が必須になりました。
- 言語スクリーニング(言語力の事前判定)
- 先住民法と先住民に関する知識(独立した必修科目)
これらは既存の認定要件に加わるもので、従来の科目・試験などの要件も引き続き満たす必要があります。
言語スクリーニングの概要
NCAへの資格評価申請者は、原則としてNCAの言語スクリーニングを完了しなければ、評価結果を受け取れません。受験免除となるのは、NCAが認める有効な言語試験結果(提出時点で2年以内)を提示できる場合だけです。
対象となる申請者
初回申請者に限らず、最初の評価で認定に必要な基準を満たせず、追加の履修後に再評価を求める人も対象です。2026年3月1日より前に申請した人でも、再評価を依頼する場合は影響を受ける可能性があります。
受験回数
スクリーニングの受験は1回のみです。
英語スクリーニング
英語はVersant English Placement Test(監督付き)で判定します。費用はNCAの評価料に含まれ、総合スコア61以上が必要です。
フランス語スクリーニング
フランス語については、NCAは現時点で独自のスクリーニングツールを用意していません。フランス語を選ぶ場合、申請者はNCAの負担で承認済みのフランス語試験を受けます。スクリーニング基準に届かなくても申請手続き自体は続行できますが、最終的にCertificate of Qualification(認定証)を受け取る前に、承認済みの「本試験」で基準を満たす必要があります。
承認済みの本試験と基準
英語試験
- CELPIP-General 各バンド9
- IELTS General 各バンド7
- PTE Core
- Reading 78
- Writing 88
- Listening 82
- Speaking 84
フランス語試験
- TEF Canada
- Reading 503
- Writing 512
- Speaking 503
- Listening 518
- TCF Canada
- Reading 524
- Writing 14
- Speaking 523
- Listening 14
2026年以前との違い
従来は、認定対象となる法学位が英語またはフランス語で教えられ、かつその言語が公用語の国で取得されていれば、言語要件を満たしたものとして扱われました。新制度では、この扱いに代わり、原則として言語スクリーニングが必須になりました。
先住民法と先住民に関する知識要件
すべての申請者は、先住民法と先住民に関する知識を身につけたことを示す、独立したコースを修了する必要があります。NCAの2026年版マニュアルの新設セクション(10.5)では、以下の理解が求められます。
- 寄宿学校(レジデンシャル・スクール)の歴史と影響
- UNDRIP(国連先住民族の権利に関する宣言)
- アボリジナル−クラウン(先住民族と王室)関係
- ディスカバリーやテラ・ヌリウスなどの学説
- 先住民の女性・少女・2SLGBTQQIAの人々に対する構造的差別
要件の満たし方
この要件は、CPLED(Canadian Centre for Professional Legal Education)のオンラインモジュール、またはカナダの認定ロースクールが提供するNCA承認コースのいずれかで満たすことができます。CPLEDのコースは、海外で訓練を受けた法曹向けに設計された、6週間の完全オンライン・自己進行型プログラムです。
手続き上の注意点
- 言語スクリーニングは評価結果の前提であり、免除がない限り避けられません。
- スクリーニング基準に届かなくても評価手続きは継続できますが、最終的な認定証の取得には、承認済みの本試験で基準を満たす必要があります。
- 先住民法のコースは独立要件であり、他の科目合格とは別に修了する必要があります。
参考サイト
NCA承認先住民法コース一覧
https://nca.legal/resources/indigenous-law-and-peoples/
CPLED Indigenous Peoples and the Law コース概要
https://cpled.ca/indigenous-peoples-and-the-law-course-for-nca-students/
CIC News
Canada expands licensing requirements for internationally trained lawyers(英語)