現状とスケジュール
カナダの移民制度を大きく変える法案C-12が、上院の常任委員会(国家安全保障・防衛・退役軍人委員会)から修正なしで本会議に報告され、次の第三読会に進む予定です。委員会の会合は2026年2月25日に行われ、第三読会は2月26日(木)に予定されています。第三読会では、可決、修正の提案と採決、または否決のいずれかが行われます。修正がなければ、その後は国王裁可を受けるだけで法律になります。修正が採択された場合は下院に差し戻されます。
連邦政府の法案が法律になるには、下院と上院の双方で同一の内容のまま第三読会を通過し、その後に国王裁可を受ける必要があります。
法案C-12の柱
行政府への新しい権限付与
- 就労許可、就学許可、永住ビザなどの移民書類を、変更・取り消し・停止できる権限を付与します。
- 移民申請の受け付けを止める、処理を一時停止する、または処理を終了できる権限を付与します。
- 一時滞在者に条件を課す権限を付与します。
- これらの命令は「公益」にかなう場合に限り出せると定めます。
2025年12月に下院が可決した修正により、「公益」は次の範囲に限定されました。行政上の誤り、不正、公衆衛生、公共の安全、国家安全保障です。さらに、この強い権限にもとづく命令を出した後は、移民大臣が国会に報告書を提出し、各命令の理由と影響を説明する義務が加えられました。これらの修正は下院の市民権・移民委員会が導入したものです。
難民制度の見直し
- 2020年6月24日以降にカナダに入国し、入国から1年を超えてから難民申請をした人は、難民申請の対象外になります。
- 米加の陸路国境で入国管理のある場所(入国港)以外から入った人は、難民申請の対象外になります。
- 現行では、米国から入国港以外で越境しても、入国14日後以降に申請すれば対象外にはなりませんが、この規定は変更されます。
- 新しい対象外規定は、法案の初回提出日にさかのぼって適用されます。ただし、提出日前に行われた申請は影響を受けません。
移民大臣レナ・メトレージ・ディアブ氏は2月18日の講演で、在留者が難民制度を悪用しているとして、1年以上滞在してからの申請を制限する方針を支持する発言をしました。
委員会での動き
審査の主担当である上院の国家安全保障・防衛・退役軍人委員会は、修正を提案しませんでした。一方で、社会問題・科学・技術委員会(SOCI)は、C-12の移民関連の改革をほぼすべて削除するという多数の提案を勧告しました。具体的には、行政府への新権限の削除、難民制度の改革部分の削除、移民当局による個人情報共有の拡大を認める条項の削除などです。ただし、SOCIは副担当のため、これは勧告にとどまり、正式な修正ではありません。
また、主担当委員会の報告には所見も含まれ、移民当局に追加のリソースを与え、申請手続きを効率化し、遅延をなくすこと、そして不正な移民コンサルタントの取り締まりを強化するよう政府に求めています。
背景
C-12は、以前の法案C-2を引き継ぎ、多くの条項を再提出したものです。これまでの審議の過程で、広範な行政府権限の乱用を防ぐための歯止めが段階的に組み込まれてきました。
日本人に関係する点
- 就労許可や就学許可などの書類が、公益の名目で変更・停止・取り消しの対象になる可能性があります。
- 申請の受け付け停止や処理の中断・終了が命じられる場合があり、審査の待ち時間や計画に影響が出る可能性があります。
- 一時滞在者に追加の条件が課される可能性があります。カナダに滞在・予定の方は最新情報の確認が重要です。
- 難民申請の見直しは主に保護申請者向けですが、入国方法や申請時期によって扱いが大きく変わる点は注意が必要です。
参考サイト
下院委員会による権限の歯止め修正(2025年12月)
https://www.cicnews.com/2025/12/committee-amends-carneys-border-bill-to-limit-sweeping-executive-powers-1263034.html
法案C-2の紹介記事(2025年6月)
https://www.cicnews.com/2025/06/new-bill-would-rein-in-asylum-claims-0656122.html
CIC News
Major immigration bill reported with no amendments(英語)
www.cicnews.com/2026/02/major-immigration-bill-reported-with-no-amendments-0272037.html