修正のポイント
カナダの国境と移民制度に関する法案「C-12」に修正が入り、総督が移民関連の手続きや書類に対して行える強い権限に、明確な制限が加わる内容になりました。対象は、申請の受け付け停止や審査の中止・終了、就労許可・就学許可・永住者カードなど各種書類の取り消し・変更・停止、書類や一時滞在者への条件付与・条件変更などです。
「公益」の範囲を限定
総督が権限を使える根拠となる「公益」の範囲が定義され、「事務ミスの是正、不正の対応、公衆衛生の保護、公共の安全、国家安全保障」に限るとされます。これにより、広すぎる裁量での決定が起きにくくなります。
恣意的な運用を防ぐ仕組み
修正が成立した場合、カナダ国内の外国人と永住者は、命令が思いつきや気まぐれで出されないという一定の安心を得られます。命令の後には、移民大臣が国会に報告書を提出し、命令の理由や影響を受けた人の詳細を説明する義務が新たに課されます。
法案の現在地と今後の流れ
法案は現在、下院の報告段階にあり、ここで議論と修正の提案・採決が行われた後、第三読会へ進みます。成立には、下院と上院のいずれでも第三読会で可決されたうえで、ロイヤル・アセント(国王裁可)を受ける必要があります。下院で第三読会を通過すると、法案は上院で第一読会に進みます。
カナダの制度上の位置づけ
総督は通常、首相と内閣の助言に基づいて権限を行使します。今回の修正は、その運用に透明性と説明責任を加え、移民制度全体の予見可能性を高める狙いがあります。
日本人に関係する点
就労許可、就学許可、永住者カードなどの移民関連書類や、申請の受け付け・審査の扱いに関わるため、観光・留学・ワーキングホリデー・駐在・移民のいずれの立場でも影響を受ける可能性があります。理由が限定され、報告義務が生まれることで、手続きが突然止まる、書類が急に無効になるといった事態のリスクは下がる見込みです。
参考サイト
Discover if You Are Eligible for Canadian Immigration
https://www.canadavisa.com/assess/canada-immigration-assessment-form.htm?utm_source=cicnews.com&utm_medium=article&utm_campaign=2025-12-04_amendments-set-limits-to-sweeping-executive-powers-in-carneys-border-bill_63034
CIC News
Committee amends Carney’s border bill to limit sweeping executive powers(英語)