実施の背景と目的
安全保障の向上、不正入国や不正滞在の抑止、正当な申請者の円滑な受け入れを同時に進めるため、国境管理と移民制度の運用が見直されています。テクノロジーの活用、審査基準の明確化、情報共有の強化により、迅速かつ正確な審査を行う方針です。
主な強化項目
入国審査と事前審査の厳格化
- eTA・ビザの事前審査での追加質問や裏付け資料の要求が強化されます。
- 搭乗前審査（Advance Passenger Information）の分析を拡大し、リスクの高い渡航を早期に判定します。
- 入国時の聞き取りで滞在目的や滞在計画の整合性が重視されます。
バイオメトリクスと身元確認の拡充
- 指紋・顔写真の照合を高精度化し、データベース照会の範囲を広げます。
- 再入国や別カテゴリー申請時のデータの再活用で不正な二重申請を防ぎます。
安全保障・犯罪歴チェックの強化
- 国際的な情報共有を拡大し、治安リスクの早期把握を徹底します。
- 虚偽申告や書類偽造への制裁を強化し、入国拒否・在留許可取消の運用を厳格化します。
不法就労・不正雇用対策
- 雇用主コンプライアンス監査を強化し、違反時の罰金・就労許可スポンサー資格の停止を拡大します。
- 就労許可の条件（職種・雇用主・勤務地）の遵守確認を厳密化します。
難民・人道配慮案件の処理改善
- 迅速審査と精緻化を両立し、虚偽申請の早期振り分けと保護が必要な申請の優先処理を進めます。
国境インフラと技術の導入
- 空港・港湾・陸路での自動化ゲート、行動分析、貨物スクリーニングの高度化を推進します。
- データ連携基盤を整備し、審査の重複や遅延を減らします。
日本人渡航者・申請者への影響
観光・短期滞在
- eTA保持者でも追加質問や入国時の聞き取りが増える場合があります。
- 往復航空券、宿泊先、資金計画の提示を求められる場面が増えます。
学生・ワーキングホリデー
- 在学証明、学費・生活費の資金証明、保険加入の確認が厳密化します。
- ワーホリでは就労条件の遵守確認が強まり、雇用主情報や雇用契約の提示を求められることがあります。
就労・永住申請
- 雇用主コンプライアンスの審査が強まり、求人の実在性と労働条件の適法性が重視されます。
- 職歴・学歴の裏付け資料、資格評価、語学証明の真正性確認がより厳格になります。
- 審査期間の変動や追加資料要求（ADR）が増える可能性があります。
準備と留意点
書類の一貫性と真正性
- パスポート、申請書、履歴書、渡航目的説明の内容を一致させます。
- 翻訳は署名・日付入りで第三者翻訳を用意します。
資金・計画の裏付け
- 銀行残高、取引履歴、奨学金・給与証明、スポンサー書簡を揃えます。
- 滞在計画（学業計画、就労計画、帰国予定）を明確に記載します。
バイオメトリクス・健康関連
- バイオメトリクスの予約と採取を早めに行います。
- 指定医による健康診断が必要なカテゴリーでは事前検診を検討します。
入国時の携行資料
- 入学許可、就労許可承認レター、雇用契約、宿泊先情報、復路便、保険証明を印刷して携行します。
- 英語またはフランス語での簡潔な説明メモを準備します。
不許可・違反につながりやすい事例
- 虚偽申告、書類改ざん、申請目的と異なる活動（観光ビザでの就労など）
- 過去の在留条件違反、オーバーステイ、未申告の前科・入国拒否歴
- 資金不足、計画の不明確さ、雇用主の不適合や求人の実体欠如
チェックリスト（抜粋）
- 本人確認書類と滞在目的の証明が最新か確認します。
- 資金・居住・保険の証拠を用意します。
- 職歴・学歴・資格の裏付け資料を揃えます。
- バイオメトリクス・健康診断の要否を確認し、予約します。
- 入国時提示用の印刷資料を準備します。
Immigration, Refugees and Citizenship Canada
Measures to strengthen border security and Canada’s immigration system（英語）
