市民権

裁量的付与でカナダ市民権を得る対象要件と手続きの流れ

制度の概要

国外出生で親からの市民権が第一世代限定(First-Generation Limit/FGL)のために引き継げない人が、市民権の裁量的付与でカナダ市民権を得られる暫定措置が実施されています。新法(法案C-3)の施行前でも、該当者はこの暫定措置により市民権取得が可能になります。

対象になり得る人(いずれかに該当)

  • 2023年12月19日より前に出生または養子縁組され、FGLの影響を受けている人です。
  • 2023年12月19日以降に出生または養子縁組され、FGLの影響を受けており、出生または縁組時点でカナダ人の親が「カナダとの実質的な結びつき(substantial connection)」要件を満たしていた人です。
  • 1949年4月1日より前に出生し、FGLの影響を受けている人です。
  • 旧市民法第8条の保持義務(retention)不履行により一度カナダ市民権を喪失した人です。

「実質的な結びつき」要件は、カナダ人の親が子の出生または養子縁組の前までに通算1,095日以上、カナダ国内に物理的に滞在していることを求める基準です。

該当例(フィクション)

シナリオ1:2023年12月19日より前に出生

アマンダさんは2010年に英国で出生しました。母のドロシーさんはタイ出生で、カナダ出生の父ロジャーさんから市民権を血統で取得した第一世代です。父のジェームズさんは英国籍でした。FGL導入後の国外出生で、母が血統による第一世代であるため、アマンダさんは出生時に市民権を得られませんでした。暫定措置により、裁量的付与の申請が可能です。

シナリオ2:2023年12月19日以降に養子縁組

ティモシーさんは米国で出生し、2024年1月にスチュワートさんとヘンリーさんに養子縁組されました。養子縁組時、スチュワートさんは米国籍、ヘンリーさんはカナダと米国の二重国籍でした。ヘンリーさんは米国出生で、カナダ人である父ウィリアムさんから血統で市民権を得た第一世代でした。血統による第一世代のため、ティモシーさんは縁組時点で自動的に市民権を得ていません。ただし、養子縁組前にヘンリーさんがカナダで通算1,095日以上滞在していたため、裁量的付与の申請対象になります。

シナリオ3:1949年4月1日より前に出生

ジョシュアさんは1945年にスペインで、カナダ人の母エミリーさんとイタリア人の父ドナテッロさんの間に出生しました。カナダ初の市民法は1947年1月1日に施行のため、出生時に自動的な市民権付与はありませんでした。さらに、国外出生届を2年以内に登録していないこと、当時の法が「カナダ人の母と非カナダ人の父から生まれた子」に血統付与を認めていなかったことから、血統取得ができませんでした。暫定措置により、裁量的付与での申請が可能です。

シナリオ4:旧市民法第8条により市民権を喪失

サマンサさんは1979年に米国でカナダ人の両親から出生しました。1977年市民法の第8条では、28歳になる前に「カナダとの実質的な結びつき」を示して市民権の保持申請を行う必要がありました。2007年の28歳の誕生日までに手続きを完了できなかったため、市民権を喪失しました。暫定措置により、裁量的付与の申請対象になります。

申請の進め方

FGLの影響があり得る人は、まず「市民権証明(citizenship certificate/proof of citizenship)」の申請から開始します。この証明は、本人がカナダ市民として認められるかを確定し、年金、医療、社会保険番号(SIN)、カナダ旅券の申請などの重要なサービスの利用に必要になります。

申請を行うと、IRCCが審査し、次のいずれもを行います。

  • FGLが該当するかどうかを示す通知書を送付します。
  • FGLの影響が確認された場合は、裁量的付与の申請依頼を案内します。

裁量的付与の依頼を提出すると、IRCCが個別事情を審査し、市民権を付与するかを決定します。

手続き方法

IRCCのオンライン案内ページを利用すると、初回申請か再発行か、本人申請か子ども向けかなど、状況に合った申請パッケージと手順が自動で提示されます。

迅速審査の依頼

市民権証明の標準的な処理期間は最新データでおおむね5か月です。状況によっては迅速審査の対象になり得ます。次のような緊急性を示せる場合、優先される可能性があります。

  • 人種・宗教・国籍・性的指向・ジェンダー(自認・表現)・特定集団への所属等に基づく危害や深刻な困難の回避が必要な場合です。
  • 国外出生の未成年(18歳未満)を、カナダ人の親のもとでカナダへ移動させる必要がある場合です。
  • 無国籍を防止・解消する必要がある場合です。
  • 親族の死亡・重篤な病気による渡航が必要で、他の旅券を取得できない場合です。
  • 期限までに外国籍の離脱が必要な場合です。
  • 就労・就学上の必要(採用申請、現職喪失の回避、進学等)がある場合です。

迅速審査を依頼する際は、以下の提出が必要です。

  • 事情を説明するレターです。
  • 裏付け資料です。
    • 航空券や旅程(支払い証明付き)です。
    • 雇用主または学校のレターです。
    • 医師の診断書や医療証明です。
    • 死亡証明書です。

その後の流れ

IRCCが迅速審査の可否を判断します。承認されると、市民権証明(および必要に応じて裁量的付与)の審査が優先的に進みます。

影響を受けない第2世代(クラウン・サーバントの例外)

出生時に親がクラウン・サーバント(カナダの公務に従事)であった子は、現行法でもFGLの例外で、すでにカナダ市民です。裁量的付与の申請は不要で、市民権証明の取得を直接進めます。

クラウン・サーバントには、以下の職が含まれます。

  • カナダ軍(Canadian Armed Forces)です。
  • カナダ連邦公務です。
  • 州または準州の公務です。

参考サイト

Proof of Citizenship(市民権証明)ガイド
https://www.canadavisa.com/applying-for-proof-of-citizenship.html

IRCC:市民権証明のオンライン申請案内
https://www.canada.ca/en/immigration-refugees-citizenship/services/canadian-citizenship/proof-citizenship/apply.html#apply-online

カナダ市民権・移住・定住(解説)
https://www.canadavisa.com/canadian-citizenship-immigration-and-settlement-in-canada.html

法案C-3:失われたカナダ人への市民権回復案
https://www.cicnews.com/2025/06/new-bill-would-restore-citizenship-to-lost-canadians-0656244.html

カナダ旅券ガイド
https://www.canadavisa.com/passport.html

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