IRCC新ツールで処理期間が急伸 各申請に広がる影響

更新の要点

今月初旬に政府のオンライン処理目安ツールが更新され、一部の申請では提出日にもとづく個別の見積もりを示す方式に変わりました。この変更後、多くの申請タイプで待ち時間が大きく延びています。市民権、アトランティック移民プログラム（AIP）、スタートアップ・ビザ（SUV）、連邦セルフエンプロイド（自営業）などで顕著です。

アトランティック移民プログラム（AIP）

AIPは経済移民の中でも増加幅が特に大きいです。

決定待ちの申請は約13,100件です。AIPの申請者向け就労許可は通常最長2年で、他の多くの永住枠と違いブリッジング・オープン・ワークパーミット（BOWP）の対象外です。現在の処理期間が約3年のため、永住が下りる前に許可が切れて就労資格を失うおそれがあります。ニューブランズウィック州は待ち時間の長期化に対応する一時的な救済策として、影響を受ける候補者に就労許可を出す措置を発表しました。他州の対応は未定です。AIPは雇用主主導の制度で、対象者は指定雇用主からのオファーと州からの承認が必要です。

スタートアップ・ビザ（SUV）

この枠は、指定機関の支援を受けた起業家に永住権を付与します。多くの創業者は、永住審査中は指定機関にひもづく就労許可で先に入国します。「10年以上」は下限の表現のため、実際の増加率はさらに高い可能性があります。

連邦セルフエンプロイド（自営業）

この永住枠は、文化・スポーツ分野での実績があり、カナダに大きく貢献できる人を対象にしています。2024年に受付停止となり、少なくとも2027年まで停止が続く見通しです。「10年以上」は下限の表現で、実際の待ち時間はさらに長い可能性があります。

市民権申請の処理期間（2025年の推移）

2025年を通じて市民権申請の処理目安が6か月延び、1月比で約85.7%の増加でした。

人道・難民関連の待ち時間

保護対象者やジュネーブ条約難民（ケベック州外）の処理目安は2025年に大きく伸びました。1月に申請した場合の見込みは約73か月（6年1か月）でしたが、現在は約99か月（8年3か月）です。わずか1年足らずで26か月増、約35.6%の上昇です。人道・思いやり（H&C）の申請は、ケベック州内外ともに処理目安が10年以上に達しています。

AIP申請者の就労への影響

AIP向けの雇用主特定就労許可は最長2年で、BOWPに切り替えできません。処理が3年規模に延びたことで、就労許可の満了前に永住審査が終わらず、就労資格を失うリスクが現実的になっています。ニューブランズウィック州は一時的な救済策を出しましたが、他州の対応は今後の発表待ちです。

参考サイト

アトランティック移民プログラム（AIP）概要
https://www.canadavisa.com/atlantic-immigration-program.html

ブリッジング・オープン・ワークパーミット（BOWP）概要
https://www.canadavisa.com/bridging-open-work-permit.html

ニューブランズウィック州の一時措置（AIP待ち時間対策）
https://www.cicnews.com/2025/10/new-brunswick-offers-lifeline-to-pr-applicants-at-risk-of-losing-work-status-1061228.html

カナダ・スタートアップ・ビザ概要
https://www.canadavisa.com/the-entrepreneur-start-up-visa-program.html

IRCCの新しい処理時間ツールの解説
https://www.cicnews.com/2025/10/permanent-residence-and-citizenship-applicants-can-now-look-up-personalized-processing-times-1060927.html

移民コンサルタントへの相談窓口
https://www.canadavisa.com/contact-us.html?utm_source=cicnews.com&utm_medium=article&utm_campaign=2025-10-27_irccs-new-tool-shows-stark-increase-in-processing-times-for-several-application-types_61285