法改正で祖先による市民権が大きく拡大しました
2025年12月15日に発効した法案C-3により、親からの継承で市民権を得る仕組みの「第一世代まで」という上限がなくなりました。発効日より前に生まれた人であれば、どれだけさかのぼってもカナダ人の先祖につながることを示せれば、市民権を主張できるようになりました。対象者は世界中に広がり、米国でも関心が一気に高まりました。
ニューブランズウィック州公文書館で申請関連の問い合わせが急増しています
必要書類の入手先として、公文書館や教会などに記録の請求が集中しています。ニューブランズウィック州公文書館では、2026年春の時点で市民権関連の依頼が月約400件に達し、2025年の月約100件から4倍に増えました。担当アーキビストは、2026年2月から市民権関連を別分類で集計し始めて以降、ゆっくりですが確実に増え続けていると説明しています。
依頼の多くは米国からで、主に出生記録の請求が中心です。ほかに、婚姻証明、死亡記録、土地の記録、学校の累積ファイルなどの依頼も入っているとされています。現場は全国的に業務がひっ迫しており、順番に対応するため時間がかかる見込みです。
米国で関心が強い背景(アカディアの歴史)
ニューブランズウィックの記録が注目される理由の一つは、1755年に始まった「アカディア人の追放」にあります。現在の大西洋沿岸州域(ニューブランズウィックを含む)から多くのフランス語話者が強制移住させられ、その一部は後に米国の各地、とくにルイジアナへ渡りました。「ケイジャン」という言葉の語源は「アカディアン」にあります。この歴史的つながりにより、米国内にカナダ人先祖を持つ人が多く存在します。
申請の基本ステップ
カナダのパスポートを取る前に、「カナダ市民権証明書(Proof of Citizenship)」の取得が必要です。まずはカナダ人先祖との血縁を示す公式記録(出生・婚姻・死亡・教会洗礼記録、土地台帳、学校記録など)を集めます。これらは州の公文書館や宗教団体が保管していることが多いです。必要書類がそろったら、市民権証明書の紙申請を行います。
依頼時の注意点(待ち時間・優先対応・代理人)
公文書館は依頼の山を順番に処理しているため、回答まで通常より時間がかかります。スタッフは可能な限り協力的に対応しますが、他の利用者のニーズとも調整するため、待機が前提になります。
一部の機関(例:ケベック州の国立図書・公文書館BAnQ)は、州内居住者の依頼を優先することがあります。そのため、米国在住者の一部は、手続きの道筋づくりをカナダの専門家に依頼しています。申請の代理を任せられるのは、カナダの弁護士またはカナダの有資格移民コンサルタントのみです。
証明取得後の流れと処理期間
市民権証明書を受け取った後は、カナダのパスポート申請に進めます。通常は10~20営業日ほどで処理されます。米国では「いざという時の保険」としてカナダ旅券を求める動きが強まっており、世界的にもセカンドパスポートの需要が高まっています。
二重国籍の取り扱い(権利と税務)
カナダと米国はいずれも二重国籍を認めています。米加の二重国籍者は、両国で生活・就労する権利など、両国市民としての権利を享受できます。税務について、カナダは米国のように世界所得課税を採用していません。市民権証明やパスポートを取得しても、それ自体で新たなカナダの納税義務が追加で発生することはありません。
参考サイト
米国人は移住よりパスポートを希望
https://www.cicnews.com/2026/04/americans-arent-moving-to-canada-they-just-want-the-passport-0474139.html
ケイジャンはカナダ人かもしれません
https://www.cicnews.com/2026/04/why-cajuns-may-be-canadians-under-new-citizenship-law-0473979.html
CIC News
“We didn’t see this coming”: New Brunswick Archives encourages patience as Americans rush to secure documents needed for Canadian passport(英語)