移民

LinkedInとExpress Entryの不一致が招く虚偽申告リスクと回避策

IRCCがLinkedInを確認するときに見ている点

公開設定のLinkedIn情報は、移民・難民・市民権省(IRCC)が審査中に確認することがあり、Express Entryの結果に影響する可能性があります。プロフィールは最新かつ正確で、Express Entryの内容と矛盾しない状態に整える必要があります。

職歴・職務内容・時系列の一貫性

在職期間と時系列のズレ

開始日や終了日の誤差、「現在勤務中」の表示、複数のフルタイム職が説明なく重なっている表示は、要件判定に影響するため注意が必要です。特に、以下の最低勤務要件にかかわるズレは不利になります。

  • Canadian Experience Class(CEC):直近3年のうちカナダでのフルタイム1年相当の就労が必要です。
  • Federal Skilled Worker Program(FSWP):直近10年のうち連続1年のフルタイム就労が必要で、カナダ国内外いずれでも構いません。
  • Federal Skilled Trades Program(FSTP):直近5年のうち対象職種でフルタイム2年相当の就労が必要です。

空白期間も重要です。Express Entryでは連続就労として申告しているのに、LinkedInでは同時期に失業・旅行・就学を示す表示があると整合性に欠けます。

職位とシニアリティの違和感

LinkedInの肩書は採用広報向けの名称であることがあります。ただし、「Director」「Head of」「Vice President」など明らかに権限が高い肩書がある一方で、申請書ではより低い職位として申告している場合や、その逆に申請で熟練職を主張しているのにLinkedInでは初級職に見える場合は、実態確認の対象になりやすいです。

職務内容とNOC/TEERの適合

Express Entryでは、申告する職務がカナダのNOC(TEER 0/1/2/3)に該当する必要があります。判定は肩書よりも実際の職務内容が重視され、多くの主要業務を行っていたことを示す必要があります。LinkedIn上の記述から、より適切な別NOCに見える、あるいはシニアリティが異なるように見えると、疑義が生じます。

各職歴の職務内容が申告したNOCと大筋で一致するように整え、事情があって見え方が異なる場合は、申請書に合理的な説明と証拠を添えるとリスクを下げられます。

よくある警戒ポイント

  • 雇用主名の表記違い:LinkedInはブランド名、書類は法人名/親会社名/再編前名称などで不一致が起きるケースです。
  • 勤務形態の表示:「リモート」表記なのに申請では現地勤務としている(または逆)ケースです。
  • 昇進の時系列:昇格スピードや肩書変更の時期が在職証明の記載とずれているケースです。
  • 規制業務の示唆:工学・法律・医療など免許が必要に見える職務が書かれているのに、申請一式で免許要件に触れていないケースです。

学歴・資格・専門性の整合性

学歴は選考対象プログラムやCRSスコア、提示したジョブオファーの受入可否に関わります。申告した学歴と証明できる学歴が一致しているかが重要です。FSWPは高校卒業以上が必要で、CECとFSTPには必須学歴はありませんが、CRS加点を狙う場合は学歴の裏付けが要ります。

LinkedInの学位種別(ディプロマ/学士/修士など)、学校名、所在地、在籍期間が申請内容と矛盾しないか確認されます。複数のプログラムがある場合は、就労・居住の履歴と矛盾なく並ぶかも見られます。ジョブオファーで高度な学歴が条件なのに、LinkedInに必要学歴の完了が出ていないと疑義に繋がります。

学歴の裏付けは成績証明、在学・修了証明、学位証が基本です。海外学歴でCRSの学歴加点を申告する場合は、該当学歴ごとにECAが必要です。

その他の不一致例

  • 配偶者・パートナー・扶養家族の記載がLinkedInと申請書で食い違う(同伴/非同伴を含む)ケースです。
  • LinkedInの自己紹介で示す語学力と、申請書に記載したCLBレベルの整合が取れていないケースです。
  • 特定期間の居住地や移動履歴が、LinkedInの所在地表示と申請書の住所・渡航歴で噛み合わないケースです。

更新方法:候補者プロフィールは提出後も更新できます。PR申請提出後に重要な変更が生じた場合は、IRCCのウェブフォームで申告する必要があります。

架空例:プロフィール不一致が生む不利益

アルバータのスーパーでRaliaさんは「ミートカッター」として採用され、LinkedInを更新しました。半年後に店内で肉職人の訓練を受け、2年後に「ブッチャー(小売)」へ昇進しました。小売のミートカッター(TEER 5)はExpress Entryの対象外ですが、小売のブッチャー(TEER 3)は対象です。

RaliaさんはCECでプロフィールを提出し、職業をブッチャーとして申告しました。しかし審査官がLinkedInを見ると、肩書が古いまま「ミートカッター」で止まっており、現在の職務や資格要件が満たされているか疑われ、申請は不許可でした。原因は、昇進後にLinkedInを更新しなかったことでした。

虚偽申告(ミスレプレゼンテーション)の結果

LinkedInと申請内容の不一致は、意図の有無にかかわらず虚偽申告として扱われることがあります。関連情報の不申告・隠匿、改ざん書類の提出、実際にはない学歴や職歴の主張などが該当します。

不許可になるだけでなく、以下のような重大な結果につながる可能性があります。

  • 刑事罰の対象になる可能性があります。
  • IRCCに詐欺記録が残ります。
  • 一時滞在資格が取り消される場合があります。
  • カナダからの退去を命じられる場合があります。
  • 最低5年間の再入国禁止となる場合があります。
    • この間は訪問ビザ、就労許可、就学許可が発給されません。

虚偽申告の判断を受けると、その後のPR申請では厳格な審査や追加資料の要求が続きやすくなります。最も簡単な予防策は、LinkedInの公開情報をExpress Entryと同じ内容・同じ時系列にそろえることです。不一致があっても即時不許可と限らず、追加資料の提出期限を設けて説明機会が与えられる場合もあります。

実務チェックリスト

  • 職歴の開始日・終了日・在職中表示を全て一致させます。
  • 肩書よりも職務内容を重視してNOC/TEERを合わせます。主要業務の説明を明確にします。
  • ブランド名と法人名のズレ、グループ会社・再編の経緯は説明できる証拠を用意します。
  • リモート/ハイブリッドの表示はビザ履歴・渡航歴と矛盾がないようにします。
  • 昇進・異動の時期は在職証明・給与明細と揃えます。
  • 規制業務は免許・登録の有無を明記します。
  • 学歴は学位区分・学校名・在籍期間を揃え、必要に応じてECAを取得します。
  • 配偶者・扶養家族、語学力、所在地の表示は申請一式と一致させます。
  • PR申請後の重要変更はIRCCウェブフォームで速やかに申告します。

参考サイト

Express Entry全ストリームの適格性チェック
https://canadavisaplus.com/assessment

Canadian Experience Class(CEC)
https://www.canadavisa.com/canadian-experience-class.html

永住者義務(PR)
https://www.canadavisa.com/canadian-immigration-residency-obligations.html

Federal Skilled Worker Program(FSWP)
https://www.canadavisa.com/federal-skilled-worker-program-fswp.html

Federal Skilled Trades Program(FSTP)
https://www.canadavisa.com/canada-federal-skilled-trades-program-fstc.html

National Occupational Classification(NOC 2021)
https://www.canadavisa.com/noc2021.html

NOCコードの選び方(記事)
https://www.cicnews.com/2024/09/how-to-choose-the-right-noc-for-your-profession-0946707.html

CRS(総合ランキングシステム)
https://www.canadavisa.com/express-entry-comprehensive-ranking-system.html

CRSが低い場合の学び直しの効果(記事)
https://www.cicnews.com/2025/12/low-crs-score-heres-how-going-back-to-school-can-improve-your-eligibility-for-express-entry-1263464.html

ECA(学歴評価)
https://www.canadavisa.com/educational-credential-assessment.html

カップルでのExpress Entry(非同伴の扱い)
https://www.cicnews.com/2025/08/immigrating-as-a-couple-through-express-entry-what-you-need-to-know-about-listing-a-partner-as-non-accompanying-0858664.html

Canadian Language Benchmark(CLB)
https://www.canadavisa.com/canadian-language-benchmark-clb-descriptions.html

IRCCウェブフォーム
https://www.canada.ca/en/immigration-refugees-citizenship/corporate/contact-ircc/web-form.html

Express Entryのカテゴリー別抽選
https://www.canadavisa.com/eecategories.html

不許可・入国禁止に関する解説
https://www.canadavisa.com/immigration-inadmissibility.html

訪問ビザ(TRV)
https://www.canadavisa.com/canadian-temporary-resident-visa-visitor.html

就労許可
https://www.canadavisa.com/canadian-temporary-work-visa.html

就学許可
https://www.canadavisa.com/canadian-temporary-study-visa.html

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