2025年に起きた動きと背景です
米国で第二の国籍を求める動きが一気に強まり、アイルランドとカナダに注目が集まりました。アイルランドの外国出生登録(親や祖父母がアイルランド生まれの人向けの制度)では、米国市民からの申請が2024年の11,601件から2025年は18,910件へと急増し、デジタル記録が始まった2013年以降で最多でした。政治の分断、生活費の上昇、遠隔勤務の広がりなどが追い風になりました。2025年には、米国へ移るアイルランド人より、アイルランドへ移る米国人のほうが初めて多くなりました。
一方で、2025年12月にカナダが市民権法(法案C-3)を改正し、血統によるカナダ市民権の「第一世代まで」という上限を撤廃しました。2025年12月15日より前に生まれ、先祖のどこかにカナダ人がいれば、世代数に関係なく血統によるカナダ市民権を主張できるようになりました。1840年から1930年にかけて約90万人のフランス系カナダ人が米国北東部へ移住した歴史もあり、現在の米国人の中には条件を満たす人が一気に増えました。
アイルランドでは親または祖父母がアイルランド生まれであることが主な条件で、曾祖父母の世代までさかのぼると多くは対象外です。これに対してカナダは世代の制限を外したため、カナダに該当する米国人の裾野ははるかに広がりました。実際、2026年1月から4月下旬にかけて、米国内での検索では「血統によるカナダ市民権」が「血統によるアイルランド市民権」の3倍以上の関心を集めました。
血統によるカナダ市民権の進め方です
将来の移住を視野に入れる米国人にとって、この法改正は移民手続きの順番待ち自体を不要にする可能性があります。まずは家系図を見直し、親族に聞き取りをし、戸籍や家族の記録を探すことから始めます。
カナダ市民権証明書(Proof of Citizenship)を申請するには、先祖とのつながりを示す資料が必要です。代表的なものは、出生・死亡証明、結婚証明、洗礼記録などです。
多くの人にとって、最大の壁は証拠書類の収集です。たとえばケベック州の国立図書文書館のように、米国外からの問い合わせよりカナダ国内からの請求を優先する公文書館もあるため、カナダ在住の専門家に依頼する人も増えています。
必要書類がそろったら、カナダの市民権部門へ紙で申請します。執筆時点の標準処理期間は約10か月です。
市民権証明書を受け取ると、カナダへの自由な出入国、国内どこでもの居住・就労、住宅不動産の購入が可能になります。居住を開始すれば、公的医療保険にもアクセスできます。さらに、米国旅券より現在は上位とされるカナダ旅券の申請もでき、182か国へのビザなしまたは到着時ビザでの渡航が可能です。
アイルランドの条件に当てはまる米国人は限られますが、カナダの新制度では何世代もさかのぼって該当する人が多数生まれました。
参考サイト
カナダ市民権証明の申請が急増—処理時間が倍増
https://www.cicnews.com/2026/04/as-droves-of-americans-apply-for-proof-of-canadian-citizenship-processing-times-have-doubled-0474372.html
世界で第二パスポート需要が拡大—カナダの新法の影響
https://www.cicnews.com/2026/01/global-demand-for-second-passports-is-surging-how-canadas-new-bill-could-open-the-door-0166192.html
血統によるカナダ市民権を証明する7種の書類
https://www.cicnews.com/2026/04/seven-types-of-documents-americans-are-using-to-prove-their-canadian-citizenship-by-descent-0473846.html
カナダ旅券は米国旅券より上位に—182か国へビザ免除等
https://www.cicnews.com/2026/04/the-canadian-passport-now-outranks-the-us-passport-and-many-americans-may-already-have-a-claim-to-one-0473918.html
CIC News
Americans set a record for Irish citizenship in 2025. Demand for Canadian citizenship could be next, and far greater(英語)