新ルールの要点
カナダの市民権法の改正で、2025年12月15日より前に米国で生まれた人は、世代数に上限なくカナダ人の先祖から市民権を受け継げるようになりました。これにより、先祖にカナダ人が1人でもいれば、米加の二重国籍者として扱われる可能性が高くなりました。該当する人はまず「カナダ市民権証明書」を取り、その後にカナダのパスポートを申請できます。
マサチューセッツ州で対象者が多い理由
1840年から1930年にかけて、約90万人のフランス語系カナダ人がニューイングランドに移住しました。研究者の推計と米国国勢調査のデータを基にすると、現在のマサチューセッツ州の住民の約1割がカナダ系の先祖を持つと見込まれます。このため、同州では市民権証明書の申請が急増しています。
多くの申請者の目的
先祖由来での二重国籍者の多くは、すぐにカナダへ移住する計画はありません。裕福な退職者や、米国で4世代以上暮らしてきた家系の人も多く、非常時の「保険」としてパスポートを求める動きが目立ちます。
取得までの流れ
- カナダ市民権証明書の申請を行います。申請先はカナダの移民・難民・市民権省(IRCC)です。
- 証明書を受け取った後、カナダのパスポートを申請します。
この手続きは「新たに市民権をもらう申請」ではありません。すでに先祖由来でカナダ市民であることを、公式の証明書で確認する申請です。本人で手続きを進めることも、カナダ政府に登録された弁護士や認可コンサルタントに依頼することもできます。
必要書類とよくあるつまずき
申請には、先祖から自分までのつながりが分かる公的書類のコピーが必要です。例として、出生証明書、婚姻証明書、洗礼記録などがあります。最大の難関は書類集めです。
ニューイングランドに来たフランス語系カナダ人の多くはケベック州出身でした。ケベック州の公的記録は、州の戸籍当局(Directeur de l'état civil、DEC)や国立公文書館(Bibliothèque et Archives nationales du Québec、BAnQ)で扱います。DECは請求理由の説明が厳格で、要件を満たさない請求は受け付けません。100年以上前の記録はBAnQでしか手に入らないことが多く、請求は過去比で3,000%増となり、待ち時間が長くなっています。ケベック在住者からの請求が優先されるため、現地の認可代理人に依頼して記録の入手を早める方法が検討されています。
処理期間の目安
市民権証明書の処理期間は現在およそ10か月です。2025年7月時点の約5か月から倍増しています。専門家に依頼してもIRCCの審査を早める特別な手段はありませんが、不備や書類不足によるリスクを下げる助けになります。
証明書を受け取った後のカナダパスポートは、処理におよそ10~20日です。政府は処理日数に関する30日間の返金保証を出しています。
二重国籍で得られる主な権利
- カナダへの入国と居住の権利があり、就労の制限はありません。
- 選挙で投票できます。
- カナダに居住を定めれば、医療や社会サービスをカナダ生まれの市民と同様に受けられます。
税金への影響
米加の二重国籍になっても、米国市民としての税務は変わりません。カナダは米国と異なり、市民に全世界課税をしていません。カナダに住むようになった場合や、カナダの不動産・会社・資産などのつながりを持った場合に限って、カナダの所得税の対象になります。カナダには贈与税や相続税はありません。
参考サイト
CIC News
New law gives thousands of Bay Staters claim to Canadian passports(英語)